NECは今年2月に、SDN(Software Defined Network)事業を拡大すると発表した。新製品も投入し、本腰を入れる形となる。SDNの導入メリットをまとめながら、NECが広げる領域についてまとめる。(山下彰子)


 前号でも少し触れたが、SDNの導入メリットは多い。例えば、障害に対する耐久性の高さ、柔軟な拡張性、運用管理負荷の軽減、可視化による迅速な障害原因特定などだ。コントローラにインストールしたソフトウェアでネットワークを動的に制御することによって、これらを実現した。最近では、セキュリティ面でも注目されている。従来は、独立性を保証するため、それぞれにネットワークを分離して、機器も別々に管理していた。しかし、SDNであればすべてを一つの物理的なネットワークで構成し、ソフトウェアの設定で、個別に独立したネットワークとして機能させることが可能だ。物理的につながっていても仮想的には分離されているので、セキュリティ面を担保できるのだ。

 高石勝雄・スマートネットワーク事業部 パートナービジネス開発グループ シニアエキスパート ICTソリューション プロフェッショナルは、「従来型のネットワークは、数年先を見据え、余裕のあるネットワークを構築するが、ふたを開けてみるとそれほど使わなかった、というのはよくある話だ。SDNは拡張しやすいので、足りなくなれば都度、追加ができる。初期導入時は必要な分だけを構築すればいいので、初期費用を抑えることができる」とコストメリットを強調する。また、従来型は数年のサイクルで機器を一斉交換するが、「SDNは故障した機器だけを交換ができるので、運用コストも抑えることができる」と説明する。

 クラウドストレージのように、必要な時に必要な分だけでいいSDNは、これからのネットワーク市場で大きなシェアを占めるようになる。これまでSDNというと規模が大きく、複雑なネットワークをオンプレミスで運用する顧客が中心だったが、NECは中堅・中小企業のほか、病院、工場、倉庫などの特殊業務の現場領域へ拡大展開する方針を決めた。そのために、導入がしやすい製品の開発と、現場での利用価値をつくるためのパートナー連携を強化していく考えだ。

 とはいえ、「SDNは登場してからまだ10年たっていない技術」(高石プロフェッショナル)と、認知度の低さがSDN事業拡大の課題になっているという。次号は、この課題を解決する戦略についてまとめる。