バーズ・ビューは、地域の救急医療をITで支援するクラウドサービス「e-MATCH」を開発しています。生まれたきっかけは、約10年前に奈良県で起きた「妊婦のたらいまわし事件」。このような悲劇の再発を防ぐために、救急医療をITで変えようとしています。
どんな会社なの? 
夏井淳一
代表取締役社長兼CEO
地域の救急医療を、テクノロジーを使って支援する会社です。
バーズ・ビューは、救急医療管制・意思決定支援システム「e-MATCH」を開発・提供しています。e-MATCHはiPadを使ったクラウドサービスで、現場に到着した救急隊が患者の症状を画面の表示をタップして入力し、患者の症状、場所、時間に応じて最も近い距離にある病院を一覧で表示。候補に上がる病院を選択して患者の受け入れ要請を行います。病院側では、受け取った要請をもとに患者情報をみて、受け入れ可否を判断することができます。また、状況に応じて受け入れが難しい場合は、「STOP60分」など時間を選択して、その間、搬送先候補の医療機関リストに表示させないことも可能です。このようにして、救急患者と医療機関のマッチングを行い、現場の救急隊の緊急度判定や患者の最適な搬送を支援します。
また、e-MATCHで収集したデータを、地域における救急活動記録表や患者発生マップなどといったかたちで定量化・可視化。夏井淳一代表取締役社長兼CEOは、「ITを使い、地域の救急医療を見える化」を行っていると話します。
これまでの実績は?現時点(17年11月)、四つの自治体でe-MATCHが利用されています。
e-MATCHは、自治体をターゲットに展開。夏井社長によると、「現時点では奈良県、三重県の津市・名張市・伊賀市、福島県県北地域、千葉県千葉市で動いている」とのことです。
今後の方向性は?新たなテクノロジーを実装し、全国へ拡販していきます。
現在稼働しているe-MATCHは「バージョン2」で、開発してからすでに5年が経っていることから、最新のテクノロジーに合わせて製品をブラッシュアップし、全国に広めていく考えです。また、災害医療にも力を入れていくほか、IoTやAIを活用したソリューションの提供も視野に入れています。夏井社長いわく、最終的な目標は、「超高齢化社会の医療問題を解決し、日本の輸出産業をつくる」ことです。
よろしくバーズ・ビュー
救急患者のたらいまわしを防ぐe-MATCH。電話中心の受け入れ要請の世界を変えることで「社会的価値は大きい」と捉えられるものの、現在課題なのはその認知度。情報発信を強化し、今後はe-MATCHの存在を全国へ広めていく考えです。
また、救急医療のデータをもつ同社は、AI事業者などから協業相手として引き合いがあるそうです。「新規事業として医療・ヘルスケアに興味のある企業と協業したい」と夏井社長は話します。バーズ・ビューは「e-MATCH」でイッポ前へ!