既存ビジネスモデルの破壊か、進化か? ブロックチェーンの革新
<既存ビジネスモデルの破壊か、進化か? ブロックチェーンの革新>(最終回)「PoCから実用へ」の2017年を経て
2017/12/27 09:00
週刊BCN 2017年12月18日vol.1707掲載
FinTechの隆興とともにエンタープライズIT市場の注目技術として取りざたされるようになったブロックチェーンも、さまざまな分野でPoCの事例が拡大している。実用化元年ともいわれた2017年も終わろうとしているが、国内市場をあらためて振り返る。(本多和幸)
16年はブロックチェーン専業のスタートアップが市場の立ち上げを先導したが、17年は、ブロックチェーンに新たなビジネスの種としての可能性を見出した大手SIerの活動も活発化した。比較的早い段階でブロックチェーンの可能性に着目した野村総合研究所の此本臣吾社長は、週刊BCNの取材に対して、「既存のシステムの代替という方向では、例えば送金に関わるところだけに使ってみようとか、そうした用途では実用レベルに達してきている。しかし、ブロックチェーンの使い道がそこだけで終わってしまうんだったら、あまりインパクトがない。その程度のものだと決めつけてしまうのは早計」として、より広い社会課題の解決にブロックチェーンが役立つ可能性を示唆。技術や市場の動向を注視し、実証実験を重ねていく意向を示した。
一方、NTTデータは、海外グループ会社を含めて全社横断でブロックチェーン活用を推進する150人体制の専門チームを立ち上げ、19年度末までに、ブロックチェーンを活用したビジネスを100件以上検討することを目標に掲げた。さらに、ユーザー企業なども巻き込み、「ブロックチェーン技術を活用した貿易情報連携基盤実現に向けたコンソーシアム」を立ち上げ、市場へのブロックチェーンの浸透を図っている。
SIerの取り組みが本格化、
業界団体も活発に動く
業界団体の積極的な動きも目立った。ブロックチェーン推進協会(代表理事:平野洋一郎・インフォテリア社長、BCCC)は今年7月から、ブロックチェーンにより実装された、日本円と為替連動する仮想通貨「Zen」の社会実験を開始。対日本円為替レートが安定していて、企業のビジネスでも使える仮想通貨をつくろうというコンセプトだが、11月末に第1フェーズを終了し、「Zenでの支払いと仮想通貨交換所における取り扱いに関して技術な問題が発生することはなかった」としている。
Linux Foundationのハイパーレジャー・プロジェクト傘下でIBMが開発を主導している「ハイパーレジャー・ファブリック」も、エンタープライズIT市場におけるブロックチェーン活用では、主役級の存在感を示し始めている。国内でも、日本IBMが、本番システムにも使えるという触れ込みで、ハイパーレジャー・ファブリックの最新バージョン(1.0)を基盤としたクラウドサービスを提供し始めた。
ただし、エンタープライズIT市場におけるブロックチェーンの本番実装の公開事例は国内ではまだほとんどないのが実情。実用化元年というにはまだ早かったという印象だが、18年以降、事例の公開が相次ぐ可能性もある。
FinTechの隆興とともにエンタープライズIT市場の注目技術として取りざたされるようになったブロックチェーンも、さまざまな分野でPoCの事例が拡大している。実用化元年ともいわれた2017年も終わろうとしているが、国内市場をあらためて振り返る。(本多和幸)
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