昨年の人気アイテムの一つとなったAIスピーカー。日本でもAmazon、Google、Apple、LINE、SONYなどから一斉に発売された。
2017年11月15日に発売された「Amazon Echo」は、我が家でもさっそく活躍している。今のところ、主な用途は事務所の音楽プレーヤー。「Alexa, play Lionel Richie」と話しかけると、ライオネル・リッチーの曲をAmazon musicから選曲して流してくれる。
私たちはこれまでコンピュータを利用するにあたり、主にキーボードとマウスを通じて入力してきた。キーボードの「A」のキーを叩くと「A」として信号がBIOSを通じてアプリケーションへと正確に伝達された。決して隣にあるキー「S」と混同されることはない。マウスの座標情報も然りだ。
音声入力は、マイクによって拾われた音声が認識され、テキスト情報に変換され、入力情報となる。AIスピーカーでは、出力側において逆にテキスト情報が音声変換され、音声としてスピーカーを通じて利用者に返される。
キーボードの直接入力に対して、音声入力は間接入力ということができる。間接入力の展開を考えると、近い将来には手話の画像認識も可能となるだろう。
さて、我が家のAmazon Echo。先のやりとりでわかるように言語設定を英語にしてある。初期設定の日本語から英語に変えてみたのだ。天気予報や調べものをコイツでやると、さながら家に外国人留学生が一人ホームステイしているかのようだ。紛らわしい単語を除けば、許容範囲は広いので大方の用は足りる。米国を離れて25年近く、家のなかで英語を使うことはなかったが、なかなかおもしろい。
ネット上では、車に搭載しての使用やチャットボットの活用が話題になっている。コマンドを入力に使うことのできるスキル(技)対応が進めば、さらに便利になるであろう。AIの性能向上と音声入力の精度向上、そしてIoTが進めば、さらに生活のなかでの活用は進む。
ただし、あちこちで人が入力装置に話しかける風景は、あまり気持ちのいいものではない。すでに二人きりの我が家でもAIスピーカーへの発話に対して、「え? 何か言った?」と聞き直すことが増えている。
サイバー大学 IT総合学部教授 勝 眞一郎

勝 眞一郎(かつ しんいちろう)
1964年2月生まれ。奄美大島出身。98年、中央大学大学院経済学研究科博士前期課程修了。同年、ヤンマー入社、情報システム、経営企画、物流管理、開発設計など製造業全般を担当。2007年よりサイバー大学IT総合学部准教授、12年より現職。NPO法人離島経済新聞社理事、鹿児島県奄美市産業創出プロデューサー。「カレーで学ぶプロジェクトマネジメント」(デザインエッグ社)などの著書がある。