企業の成長には、生成AIの導入が欠かせないという認識が広がっている。AIが力を発揮するためにかぎとなるのがデータであり、データ基盤を構成するストレージの重要性はますます高まっている。米Dell Technologies(デル・テクノロジーズ)は、AIの実装を進めるスキーム「Dell AI Factory」の中で、必要なインフラをパッケージ化した事前検証済み製品として提供することで、より多くの企業へスムーズな導入を進める戦略だ。顧客が求めるAIワークロードの規模に応じて複数の構成をそろえ、その中へAI活用に最適なストレージを組み込むことで、効率的なビジネス実装を推進する。
(取材・文/堀 茜)
「PowerScale」が中心に
デル・テクノロジーズは、AIの実装に必要なITインフラ製品を幅広く提供している。AI Factoryはグローバルでエンタープライズを中心に3000を超える活用事例が生まれているが、AIのビジネス実装をより強力に推進する、AI活用に最適化した事前検証済み製品が「Dell AI Factory with NVIDIA」だ。米NVIDIA(エヌビディア)のGPUを搭載したサーバーや、AIワークロードに最適なストレージ、ネットワーク機器などのインフラ製品に、両社のソフトウェア製品なども組み合わせ、顧客が構築したいAIの要件ごとに、「Small」「Medium」「Large」など複数の規模の構成を用意している。
このパッケージの中には、生成AI利用や機械学習を支えるデータ基盤として「Dell AI Data Platform」が含まれている。仮想化されたあらゆるデータソースをコネクターでつないでアクセスを可能にし、集中管理することで、AIの導入・運用で必要となるデータの配置・処理・保護を実現している。オンプレミスかハイブリッドクラウドでの利用を想定している。
AIの展開においては、パートナーの役割が重要になる。Dell AI Factory with NVIDIAはフルスタックで顧客のAI導入を支援できる製品で、同社が検証済みの構成のため、顧客がインフラを選ぶための検討時間、導入した後の実装時のトラブルのリスクを最小限にできるという優位性がある。パートナーはラインアップから型番を選ぶことで簡単に見積もりを作成し、顧客への提案が可能だ。
AI導入のための事前検証済み製品「Dell AI Factory with NVIDIA」のデモ展示=5月、
米ラスベガスのイベント会場で撮影