自動車を中心とした製造業が盛んな愛知県。ITビジネスにおいても、製造業のDX推進をはじめさまざまなニーズより市場が盛り上がりをみせている。愛知県情報サービス産業協会(AiA)には、大手から中小まで多くの県内ITベンダーが参画。強みとしている委員会活動を通じて、人材採用や育成、ビジネス交流、技術向上支援などを提供し、会員企業のビジネス成長を後押ししている。古川博史会長に活動内容や愛知県のITビジネス動向について聞いた。(岩田晃久)
人材採用の課題解決を推進
――AiAについて教えてください。
当協会は、愛知県内の情報サービス産業と地域経済の発展に寄与することを目的に設立されました。会員数は、正会員249社と賛助会員9社を合わせて258社(2025年11月時点)で、従業員100人以下の中小規模が多くを占めています。
――どのような活動をされていますか。
各委員会が積極的に活動しているのが強みです。技術委員会が「ITC(Innovation & Technology Challenge)」というコンテストを開催したり、こども未来委員会では、お子様がITに触れるイベントを企画したりしています。
また、採用支援委員会では、県内の大学や専門学校との関係強化を図り、会員企業の採用活動を支援しています。県内の大学や専門学校を卒業しても、首都圏のIT企業に就職する人が多いですし、一般企業もIT部門の強化を目的に理系学生を積極的に採用しているので、中小の会員企業が採用に苦戦するケースが目立ちます。学生に会員企業で働きたいと思ってもらえるように、魅力をつくっていきたいと思います。
――年々、会員企業が増えていますが、要因を教えてください。
最近は、先ほど述べた採用の部分とビジネス交流、この二つを目的に加盟する企業が増えています。
加盟後に、人材育成委員会が提供する研修やセミナーを受ける会員が多くいます。規模が小さい企業の場合、自社でカリキュラムをつくったりするのが難しいため、特に階層別研修は参加率が高く、評判が良いですね。
古川博史会長
若手社員の交流の場をつくる
――協会を運営する上では、どのようなことを心掛けていますか。
協会の活動はビジネスではなく、ボランティアになるため、会員には苦しい活動をしてほしくないという思いが強くあります。委員会での活動といった場面で、会員が自分の意見をしっかりと言えるよう、明るく爽やかな協会をつくることを意識しています。
会員企業の中には委員会に参加していない企業もいます。会費を払っていただいている以上、AiAに入会したメリットを感じてほしいという気持ちが強くあります。現在は、そうした企業に対して、企業訪問をして若手社員に委員会への参加を案内するといった活動をしています。社外の人との交流は、知見を得たり、視野を広げられたりするので、しっかりとメリットを伝えていきたいです。
――外部と連携して取り組んでいることはありますか。
神奈川県情報サービス産業協会(神情協)と交流をしています。先日は、神情協が開催したビジネスフォーラムに当協会のビジネス交流委員会が参加しました。そのフォーラムはビジネスにつながる非常に濃い内容だったため、参考にして愛知県でも同じようなイベントを開けるように計画中です。
会員300社を目標に
――県内企業のIT投資動向をどのように捉えていますか。
大手製造業を中心にDXの推進に向けてIT投資を強化する企業が増えており、そういった影響から会員企業のビジネスも伸びています。一方で、大企業の案件にIT事業者の人員が割かれている面があり、中小企業がDXに取り組みたくてもIT人材がいないことを理由に進まないというケースが出ているように感じます。
――今後の展望をお願いします。
現在は案件が豊富で、会員の皆様のビジネスは好調です。ただ、これがいつまで続くかは分からない部分があるため、人材育成や自社製品の開発など将来を見据え投資をしてもらいたいですし、その部分を支援できればと思います。
そして、会員300社を目標に積極的なPR活動をしていきたいですね。現状では、県内の大手ITベンダーの大半が会員となっているので、中小のITベンダーを開拓していきます。この部分は、われわれだけでは難しいので、既に会員となっている企業に紹介してもらうなどしていこうと考えています。
<紹介>
【愛知県情報サービス産業協会】
愛知県内の情報サービス産業と地域経済の発展に寄与することを目的に1988年6月に設立。技術支援や人材採用・育成支援、ビジネス交流、イベント開催などを通じて県内のITベンダーを支援する。会員数は258社(2025年11月時点)。