日本データセンター協会(JDCC)は、日本のデータセンター(DC)におけるあるべき姿を追求することを目的とし、主にWGの活動を通じて技術面と政策面での検討などに取り組んでいる。電力の逼迫に関する課題についても、政府や事業者と連携して向き合っている。増永直大・事務局長に、業界が抱える課題や現在の取り組みについて聞いた。
新たなWGを立ち上げ
――JDCCについて教えてください。
当協会は、2009年に日本のDCにおける標準化やガイドライン作成などに取り組むことを目的に設立されました。当時、DCのビジネスが一般企業向けに結構出てきたことからプレイヤー自体は多くいましたが、業界の標準化に関する課題感がありました。加えて、米国でのDCへの取り組みが活発だったことにも影響され、始めは30~40社ほどで集まって設立しました。ここ2、3年で会員数がかなり増え、9月19日現在で423の会社や組織で構成しています。
会員の裾野は広く、DC事業者やDCを利用している企業はもちろんのこと、ゼネコンなどの建築関係や電気設備系、空調設備系、外資系の不動産デベロッパーなども入ってきています。
――どのような活動をしていますか。
ワーキンググループ(WG)がメインの活動内容となります。技術的な検討を行うWGや政策の検討のためのWGがあり、それぞれ月に1~2回ほどの頻度で開催しています。
例えば、技術的な部分では、国内DC施設基準の策定などを行う「ファシリティ・スタンダードWG」や、DCの省エネ技術や標準化を検討する「環境・基準WG」、物理的なセキュリティー動向を調査する「セキュリティWG」といったWGがあります。技術面以外では、東京都の省エネ政策動向を調査する「環境政策WG」や、人材育成に関わる「人材マネジメントWG」、海外のDC関係団体などと情報交換を行う「グローバルアライアンスWG」などです。
25年に入ってからは、新たに「コミュニケーションWG」をつくりました。最近、世の中でDCに関する話題が注目されていますから、協会としてどのような情報を発信していくのか、どのような対応をすればいいのかなどを考えるWGです。既にキックオフを終え、動き始めています。
そのほかにも、海外のDCの視察を行ったり、会員企業から参加者を募って研修をしたりしています。24年からは、当協会が主催の展示会「Data Center Japan」も開催しており、次回は26年の3月に開催予定です。
増永直大・事務局長
DC整備について官民連携
――業界が抱えている課題をどのように捉えていますか。
従来通りの需要だけでなく、AIに対応するためのDCの需要もどんどん膨らんでいます。大量の電力を消費するサーバーが多く登場しているため、今までのDCでは間に合わなくなってきました。将来を見ても、圧倒的に電力が足りません。DCは工場などと違って夜に休むことがなく、24時間365日電力を使い続けます。つまり、単純に電力が足りないというのではなくて、絶対量として電力がないために、一生懸命発電所をつくらなければならないという状況になっています。
――課題に対して取り組んでいることはありますか。
取り組みの一つとして、「ワット・ビット連携官民懇談会」が挙げられます。経済産業省と総務省が開催し、通信会社や電力会社、DC事業者などが、DCの整備について主に電力・通信インフラの側面から今後の計画を話し合っています。当協会も関わっており、どのようにDCを増やしていくかといったロードマップの検討などについて手伝いをしています。まだ(計画について)結論は出ていませんが、手を挙げてくれる自治体を募るといった動きが始まっています。
――今後取り組みたいことについて教えてください。
情報発信が必要だという声が協会内で上がっています。例えば最近、当協会では人材育成に注目しています。人材不足の課題はもちろんありますが、そもそも若い人がDCの仕事を知らないという現状がありますから、DC業界の仕事について紹介する動画を「YouTube」に投稿し情報を届けています。このように、人材不足という課題に対する取り組みに注力していきたいです。
昨今、技術的にもビジネス的にも予想がつかない状況にありますが、当面はDCを世の中に認知していただくことを含めて、当協会の活動を通じて将来に向けたDCの姿を少しでも提示できたらと思っています。
【日本データセンター協会】
2009年4月に設立。「IT立国の基盤を支えるデータセンターのあるべき姿を追求する」を掲げ、データセンターの標準化推進やガイドラインの作成をはじめとした活動を行っている。会員数は423社(9月19日現在)。