8ビット

コンピュータにお化け

1982/03/15 15:27

 ある大手企業のコンピュータ室には、神社のお札が貼ってある。こういうことに反発する若い社員はどこにでもいるもので、バカバカしいとはがしてしまった。時を同じくして、会社自慢のマシンの調子が悪くなり、トラブルの連続。いくら調べても原因がつかめず疲労困憊した担当者、半分ヤケで例のお札を元通りに貼ってみたら、ナント、ひとりでに動きだした。こんなことが二度、三度と重なりさすがにお札に手をつける者はいなくなったと、ものの本に書いてあった。ちなみに、マシンの導入には大安の日を選ぶのが常識となっている。

 もう一つ。とあるコンピュータ・メーカーではお化けが出るという噂がまことしやかに流れている。この会社では、過去に過労が原因で死んだと言われている人が2、3名いて─どういう訳か、全員SEなのだ─お化けとなって現われるのは、どうもその内の一人らしい。曰く、徹夜でデバックしていて、ふと背後で人の気配がするので振り返ってみると、そこにボーッと立っていた、眼がねをかけていたからアイツに違いないとか、そんなことは何も知らない女子社員が、やはり残業をしていて眼がねのお化けを見たとか。ある日、酒の席で、肴にと思ってこんな話をしたら、情報産業とは無縁な職場にいる友人がひどく感嘆してこう言った。「ヘェー、コンピュータの会社でもお化けが出るの!」絶句である。
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