新年が明けて、ヨーロッパでは新通貨「ユーロ」の流通が開始された。このニュースを目にして、つい最近、雑誌「composite」で読んだ「地域通貨」についての記事を思い出した。

 カナダのマイケル・リントンによって83年に創案された「地域通貨」のシステムは、「限定された地域において参加者が自発的に財とサービスを取り引きし合い、その交換媒体として地域ごとに固有の通貨を発行・管理しながら利用する仕組み」と定義されている。

 その原則の説明の中に非常に興味深いものがあった。「市場における信用(クレジット)ではなく、コミュニティにおける信頼(トラスト)が基本」というものである。

 地域通貨と呼ばれるものの性質を簡潔に表しているとともに、これからのネットのコミュニティとそこでのコミュニケーションを考えていくうえで非常に重要なヒントが隠されているのではないか、と思ったのだ。

 ネットコミュニティの運営にあたり、常日頃考えているさまざまなキーワードのすべてに通じる地域通貨の概念と原則は、ネットの出現にともなって加速した2つのベクトル(無限に大きな規模と無限に小さな規模が並立しうる世界)の違いをも如実に物語っているのだろう。(レビュージャパン 事業統括マネージャー 澁川直子)