北斗七星

北斗七星 2002年3月25日付 Vol.934

2002/03/25 15:38

▼米国の景気が底を打ったとの報道を受けてか、日本のIT復調というニュースが出始めた。だが、残念ながら店頭市場では、パソコン復調の実感はない。今回のパソコン市場低迷は、従来のように市場が踊り場に差し掛かったという理由によるものではない。新しいウィンドウズの発売によってパソコンの売り上げが上昇し、販売店が潤う90年代のビジネスモデルが崩れたことが販売不振の大きな要因だ。パソコン業界側が新しい価値を作り出し、ユーザーに提供し需要を拡大させる。新しいビジネスモデルを提示できなければ、売り上げを上昇に転じることは難しい。残念ながら米国でのパソコン売り上げ上昇が、即日本でも起こるとは考えにくい。

▼新しい価値の1つは、ブロードバンドが創り出すことは間違いない。しかし現状では、ホームページの表示スピードが速まり、絵や音などダイヤルアップでは表示するのが難しかったコンテンツを楽に閲覧できるといった程度しかブロードバンドのメリットになっていない。このままでは、かつてのパソコンブーム、インターネットブームと同様、一時のブームに終わってしまう可能性がある。ブロードバンドを生かすキラーアプリケーションの登場が待たれるところだ。

▼パッケージソフトの世界は、米国のデファクト製品が日本市場でもデファクトの地位を得た。一方、国民性が反映されやすいインターネットサービスは、米国大手でも日本で成功しているとは限らない。ブロードバンドのキラーコンテンツでは日本企業が活躍できるチャンスは大きい。ブロードバンドが日本経済を活性化することができれば、IT不況という言葉を吹き飛ばし、販売店を活気づかせることができるはずである。
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