旅の蜃気楼

<e-Silkroad編 アジアのIT利用技術立国を目指せ>その17 ちょっと熱燗気分です

2002/05/06 15:38

週刊BCN 2002年05月06日vol.939掲載

▼九州にとても元気な会社がある。「大臣シリーズ」の業務ソフトを発売している応研から招待状を頂いた。ダイエーホークスの本拠地・博多に出向いた。ご当地ではダイエー、ダイエー、ダイエーである。阪神、とはついぞ聞こえてこなかった。それはさておき、応研の話に入ろう。「天神にビルを建てないか」という話が、2年ほど前に持ち込まれた。社長の原田明治さんの「つくろ」(博多弁)の一声で決まった。昨年3月から建設を進めていた自社ビルがこのほど完成した。超高層ではないが、9階建ての立派なビルだ。天神は博多の一等地で、誰もが知っている。屋上から一度は見たいと思っていた日本銀行・福岡支店の庭を眺望した。

▼さて、縁とは不思議なものである。創業20年の事業の結晶である自社ビルの建った場所は、なんと創業地の向かい側。社長の原田さんは、どうもこの縁に、想いを入れた節がある。経営者には思い込むタイプが多い。新しいビルには博多本社の社員約90名が入る。全社員は140名。「社員へのお披露目はいつですか」と聞けば、「いつなんですかね」と、他人事のような返答だ。記念式典に駆けつけた80名近くの原田ファンは、いつもながらのお愛想に、ニヤニヤしている。お披露目当日の4月19日、日刊紙には西銀とシティー銀の合併記事が載った。博多には激震が走った。

▼祝賀パーティーには西銀関連会社の人も来ていて、「見習わなければならない」。原田さんはどこが優れているんでしょうか。「ポイントを押さえるところじゃないですか」。話題の中心は、この景気のなかで、「よくぞやった」というべきか、「無謀だ」というべきか。評価は単純ではない。壇上で、「こうして皆さんと楽しく仕事できることが嬉しいです。こうして社員と楽しく仕事をできるのが嬉しいです」。トツトツとした原田さんの挨拶は、20年前、新大塚の5坪のBCN編集部を訪ねてくれて、「大名マイコン学院の原田です。よろしくお願いします」と、照れながら博多弁で語ったあの時とそっくりで、胸が熱くなった。そうか、もう20年前になるんだ。ネットベンチャーが台頭して、株式公開で話題をさらうなか、ちょっと回顧にふけってみた。祝賀に駆けつけた喜びの人たちから、「がんばってほしい」と、エールが飛んだ。ソフトは利用技術のなかで育まれる。応研はユーザーサポートの評価が高い。天神にランドマークを掲げた評価は、応研の将来が回答を出す。今週は演歌的で、熱燗が飲みたくなる気分だ。(旅の蜃気楼 本郷発・BCN主幹奥田喜久男)
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