ウイングアーク1st(以下、ウイングアーク)の同社ビジネスへの貢献を表彰する「WingArc Partner Award 2026」がこのほど発表され、最上位である「WingArc Partner of the Year」を日立ソリューションズが受賞した。両社は2001年に協業を開始し、25年にわたってともに歩んできたパートナーだ。日立ソリューションズはウイングアーク製品群と自社ソリューション・SIノウハウを組み合わせ、これまでにデジタル帳票基盤「SVF」は500社以上、BIツール「Dr.Sum」および「MotionBoard」は200社以上へ導入してきた実績を持つ。同社ではどのような形で自社のビジネスにウイングアーク製品を掛け合わせ、成果に結びつけているのか。本ビジネスを担うトップとキーパーソンに聞いた。
日立グループが強い製造業、基幹システム領域で密な連携
―― 日立ソリューションズのビジネスの特徴、強みについて教えてください。
渡部 日立ソリューションズは、日立グループのデジタルシステム&サービスセクターの中核を担うシステムインテグレーターの一社です。日立グループは現在、環境・幸福・経済成長が調和した「ハーモナイズドソサエティ」の実現に向けて、ドメインナレッジとAIを組み合わせた「Lumada 3.0」を推進し、環境と社会インフラ、働き方、医療などの分野の事業に注力しています。その中で私たちはAIのフロントランナーとして、「スマートマニュファクチャリング」「スマートモビリティ」「スマートライフ」「セキュリティ」「デジタルアクセラレーション」「デジタルマーケティング」「都市・空間情報」という、社会の課題に合わせた7つの重点事業を展開しています。
日立ソリューションズ
取締役 専務執行役員 渡部二郎
――日立ソリューションズは長年ウイングアーク製品を数多く取り扱っていますが、製品および企業としての魅力をどのように感じていますか。
山田 私はデータ利活用分野でこれまで20年近くウイングアークとご一緒させてもらっていますが、ウイングアークは国産ISVとして、外資にはない日本企業ならではの優れた特徴を持っていると感じています。とにかく皆さまの熱量が高く、私たちやお客さまの「実現したいこと」を前のめりにキャッチアップして製品に組み込み、お客さまの企業価値を高めるために自らはどうあるべきかを考えて事業に取り組まれている、という印象です。
日立ソリューションズ
ITプラットフォーム事業部 データイノベーション本部
担当本部長 山田裕子
ウイングアークは特に製造業分野に強みを持ち、上流のコンサルティングメンバーも含めて、提案段階からパートナー企業と連携してくれます。その取り組みの一例として、フィジカルAI領域では製造現場をカメラで可視化し、MotionBoardへデータを取り込むソリューションの検証を共同で進めるなど、成果も出ています。
佐々尾 私が担当する帳票・ドキュメント分野に関しても同様です。我々や開発パートナー、エンドユーザーに対して何が最適かを考え、顧客目線でご対応いただいていると感じます。SVFは基幹系に組み込まれることが多く、運用段階でミッションクリティカル性が求められ、さらにトラブルが発生した場合は速やかに保守対応する必要があります。その中でウイングアークにご相談するケースも生じるのですが、いつも迅速な対応で障害が解消されるまでしっかりと付き合ってくれます。製品販売後のアフターケアやサポートも、担当者一人ひとりの誠実な姿勢が伝わってきます。
日立ソリューションズ
スマートライフソリューション事業部
スマートワークソリューション本部
ドキュメントマネジメントソリューション部
主任技師 佐々尾淳一
両社の製品連携で、顧客へ最適化した提案を実現
――日立ソリューションズのビジネスにおいて、SVF・Dr.Sum・MotionBoardはそれぞれどのような役割を担う製品として位置付けられていますか。
佐々尾 SVFは帳票領域のデファクト製品なので、帳票基盤を構築する際にはまずはそこを軸として考えます。自社商材との連携という部分でも、当社の文書管理ソリューションである「活文」や他の販売管理や会計パッケージを含めた連携ソリューションという形でお客さまに提案しています。
また、当社の強みになるホストのマイグレーション提案の場面でもSVFは欠かせない商材です。基幹システムの刷新も含めた大規模な構築案件になることが多い中で、実際に業務IT基盤の再構築を手掛けてきた実績が多数あります。昨年度は、ERP刷新の際に「SPAIS」というウイングアーク製品を統合管理する仕組みを活用して帳票周りの環境をモダナイゼーションする大規模案件を手掛けました。それが今回のWingArc Partner of the Yearを受賞した理由の一つだと伺っています。
山田 データ利活用の領域では、私たちが提供する複数ソリューションの主要商材として、Dr.SumとMotionBoardを位置付けています。また、お客さまごとに複数の商材を組み合わせてソリューションとして提案するのですが、親会社が日立製作所であることから、製造業に加えて金融・公共分野のお客さまも多く、それらの領域ではDr.SumとMotionBoardを大規模に導入いただいている実績が多数あります。さらに、これらの導入事例をもとにお客さまから新たなご要望をいただいたり、当社側から最適なソリューションとして提案したりするケースもあります。AI活用に向けてはDr.Sumでデータ基盤を整備するというアプローチも行っています。
渡部 ウイングアーク製品を提供するにあたっては、日立ソリューションズのSIに対する総合力と、自社商材とウイングアーク製品の連携・組み合わせで、お客さまのニーズを満たすソリューションを構築しています。業種ごとの導入テンプレートを用意しているほか、四半世紀にわたる長年の両社連携の中で、お互いの製品間でも整合性を意識して開発し、双方の意見をソリューションに取り込んでお客さまに提供しています。
それに加えて、製品のコストパフォーマンスの高さも提案しやすいポイントです。クラウドのAIサービスは使うほどコストがかかりますが、そこをうまく製品内に内包し、必要な時にAIを動かすという設計になっています。
柔軟なパートナープログラムでビジネスが加速
――パートナープログラムを含めて、ウイングアークのサポートに対しての評価をお聞かせください。
佐々尾 お客さまに対するサポートの部分では、メールベースでは伝わりにくい部分もオンライン対面サポートで直接画面を見ながら対話していただき、当社のパートナーやエンドのお客さまからも感謝の言葉を頂戴しています。またパートナーという部分では、ウイングアークでは独自のパートナー支援プログラムが用意されています。その枠組みの中で当社が単独で製品のプロモーション活動を行う際にも後方支援してもらえるのがありがたいです。技術や新製品についても、定期的にセミナーや個別の勉強会が開かれており、フランクな形でコミュニケーションが取れています。
山田 ウイングアークのパートナー支援プログラムは柔軟な仕組みで、当社では製造業のお客さまに対する共同のテレマーケティングや、社内の営業担当向けにMotionBoardを使ったダッシュボード作成コンテストの開催など、幅広く活用させていただいています。その枠組みの中で、ウイングアークから施策の提案をいただき、当社側からも意見を出し、改善につなげるというサイクルがうまく回っていて、それがビジネスの成果にもつながっています。
渡部 ウイングアークは私たちのお客さまの状況を踏まえた手厚いサポートを考え、それを惜しみなく提供してくれていると感じています。海外ベンダー製品では同水準のサポートを受けるには多大なコストが伴いますが、ウイングアークはそれをパートナー支援の枠組みとして提供してくれています。
AI時代に日本社会へ貢献できるベストパートナーに
――今後の成長を見据えた協業の展望・貴社のビジョンについてお聞かせください。
佐々尾 帳票領域では、これからの生成AI活用時代に電子書類の真正性を担保する、デジタルトラストサービスの「Trustee」に注目しています。そこは今後の成長分野であり、商機でもあると捉えています。ウイングアークは常に市場のニーズを見ながらサービスを進化させているので、お互いに方向性を合わせながら共に動いていきたいですね。
山田 今まさにAIの提案が増えており、当社ではAI Readyなデータ基盤の提供を重要な取り組みとしています。そこにウイングアーク製品を提案していこうと考えています。Dr.Sumは高速かつ加工もしやすいデータベースです。そのため、データガバナンスを効かせながら基盤をしっかり整備した上で、MotionBoardでAIを活用していただくというアプローチを進めていきます。
渡部 SaaS事業者もSIerも、AI時代に合わせた活用の形が問われています。ウイングアークはその対応が非常に速く、我々SIerとしてもAI時代に変わっていかなければならない中で、ともに前進できる素晴らしいパートナーです。日本のIT企業として社会に貢献できるように、これからも一緒に歩んでいきたいと思っています。