Letters from the World

BtoBとGE

2002/07/22 15:37

週刊BCN 2002年07月22日vol.950掲載

 世界最大規模の企業であるGE(ゼネラル・エレクトリック)を永年率いてきたジャック・ウェルチ氏の退任を受け、その後を引き継いだジェフ・イメルト会長は、GEが育成してきた世界最大規模のBtoB市場であるGXS(Global eXchange Services)を8億ドルでIT関連投資会社へ売却し、その10%を保有する株主にとどまる決定を下した。新たに独立した未公開企業として再出発をするGXSは、競合するBtoB市場の積極的な買収も視野に入れながら、数年後の株式上場を目標に、GXS市場の育成と発展に努めていくことを表明している。

 低迷と破綻が大きくクローズアップされ、バブルの鬼っ子のような扱いを受けてきた。GXS首脳はこの経緯を、多くのBtoB企業による過剰かつ不適切な先行投資と告知費用が、市況に引っ張られるように市場を失速させた原因であり、市場自体の態様に問題があったのではないと説明している。

 既に4万件に上る仕入先との間の年間200億ドルの商いをGXS空間に展開しているGEは、自社経営の建て直しを当面の理由としてGXSを切り離したと見られているが、今後のGXSに必須となる闊達な投資をあえて外部に求めると共に、より自由な環境をGXSへ与えることで、更なる利便性の向上を期するという方向を選択したのかもしれない。GXSは、ITバブルとその崩壊をくぐりぬけながら、多くの競合の戦線離脱を尻目に着実な成長を遂げてきた。ここまでの成果はその大部分をGEという後ろ楯に負うところが大きかった。今後は、これまでに培ってきた規模と機能性を武器に、市場からの投資を仰ぐ戦略を積極的に進めていくことで、ひいてはその一大需要家となっているGEへの間接的恩恵が創出されるという戦略的構図が浮かび上がって来ている。(米サンノゼ発)
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