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坂村教授、“好感触”

2002/08/12 15:27

週刊BCN 2002年08月12日vol.953掲載

 

 TRONの生みの親である坂村健・東京大学大学院情報学環教授が、すこぶる元気いい。TRONプロジェクトで誕生したリアルタイムOSが、ユビキタス・コンピューティング時代の主役になりつつあるからだ。携帯電話やPDA、AV機器などに組み込まれる制御用チップのOSとして広く普及しており、今後、共通プラットフォームとしての成長が見込まれている。

ただ、これまでハードウェア側の規格化が進まず、各機器メーカーがそれぞれのハード仕様に対応したミドルウェアを開発してきたため、ミドルウェアに互換性がなかった。いくら優れたミドルウェアを開発しても、他社に売り込むことができなかったわけだ。

こうした課題をクリアしようと、坂村教授が会長となり6月24日に発足したのが、オープン開発プラットフォームの規格推進団体「T-Engineフォーラム」。これにより、「T-Engine規格のハードであれば、CPUの種類が異なっても、ミドルウェアが共通に動作できる」ようになり、ミドルウェアビジネスへの道が開かれた。

フォーラムへの参加企業は、発足からわずか1か月余りで22社から37社へとほぼ倍増。この“好感触”に気を良くしてか、「ユビキタスでは日本がイニシアチブをとる」と、坂村教授の声のトーンは一段と高まっていた。
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