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お盆休みの気配り?

2002/08/26 15:27

週刊BCN 2002年08月26日vol.954掲載

 

 ソフトバンク・ファイナンスグループから約15%出資を受けるネットイットワークスの北田正己社長は、「ナスダック・ジャパンの撤退は、日本の株式投資基盤がとても脆弱で、一寸先が闇のような不安定なイメージを与える。こうも簡単に撤退されると、株式市場が、安定的な資金運用の手段とは言い難くなる」と肩を落とす。

 同社は、ネットワーク構築を手がけ、これから株式公開して資金を調達しようとする企業だ。株式公開先は、ナスダック・ジャパンではなく、店頭市場(JASDAQ)を目指す。

 「今回の撤退劇では、とりわけ個人の投資意欲に打撃を与えた。伸び盛りの若いベンチャーだからこそ、10-20万円の少額資金でも気軽に投資ができた。しかし、この市場があっさり撤退となれば、けっきょく個人投資家が損をして、大手機関投資家が儲けているような印象を与える」

 ただでさえ低迷する株式市場に追い打ちをかけるのは必至。有望なベンチャー企業が資金を得やすい米国型の株式市場を日本に持ち込んだソフトバンクの功績は評価すべきだが、なんとも後味の悪い結末だ。

 お盆休みというタイミングを狙っての撤退発表で、市場への影響を最小限に抑えようとした「気配り」だけが救いか?
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