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痛し痒しのNECブランド

2002/11/11 15:27

週刊BCN 2002年11月11日vol.965掲載

 米シカゴの株式オプション取引所。オプション取引で世界最大規模を誇るこの取引所では、IBMやHPをはじめとする約2800銘柄が扱われ、しかも各銘柄ごとに30余りの派生商品が設定され、常時、売買が繰り広げられている。

 取引銘柄×派生商品の数を計算すると、合計10万区分以上の取り引きがなされている勘定になる。つまり、各区分ごとに取引価格が存在し、トレーダーは常にモニター画面の価格を見ながら、売り・買い注文を飛び交わしている。

 10万余りの商品区分ごとに価格を表示するため、場内のトレーダーの頭上にはモニターが所狭しと並び、その数は約5000台にも達する。うち、約2000台は旧来のCRT(ブラウン管)モニターだが、残り約3000台は液晶が占める。

 「ここにある液晶モニターのうち、約2000台が当社の製品」。NEC三菱電機ビジュアルシステムズの高山由社長は、こう胸を張る。確かに、液晶の大半に“NEC”のロゴマークが張り付いている。

 モニターで米市場を席巻するNECの勢いが垣間見られる場所だ。

 ただ米国では、「NECはモニターメーカーという認識が定着しつつある」との声も少なからず聞いた。液晶が元気であればあるほど、総合電機メーカーのイメージから乖離する。NEC本社にとっては、痛し痒しの悩みかもしれない。
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