ITテッなライフ

<ITテッなライフ>11.ネットショッピングに2度惚れ

2002/12/16 15:26

週刊BCN 2002年12月16日vol.970掲載

 久しぶりに顔をあわせた知人が、そわそわしながら携帯電話の画面をチェックしている。どうやらネットオークションに出品しているポータブルステレオの落札金額が気になるらしい。

 聞くとそれまでヘッドホン、ラジカセ、レゴのおもちゃなどの「戦利品」を落札したという。ふーん、通信が媒介になった販売システムって、いまひとつ胡散くさいな、と自分には永遠に縁がないだろうと思っていた。

 しかし数か月後、そんなわたしがオンラインショップでソファを買ったのだから、まったく人間の心は呆れるほどに変わるものだ。このソファ、実は以前からLOFTの売り場で狙っていた品だが、現金で買うにはちと高いし、分割払いはうーん面倒くさい…、なんてことを商品を見るたびにやっていた。

 だが先月。もうここらへんで清水の舞台から飛び降りよう、せぇーの! と心を決めた矢先だった。商品情報を調べようと、たまたまネットで検索したら、定価より2万円も安く売るオンラインショップが見つかったのである。

 もちろん新品→即購入。わたしったら、目先の利益を感じると、変わり身が早い早い。そんなわけで、ネットお買い物術に惚れたわたしのさらなるターゲットが、絶版になった本「文章の話」(岩波文庫・里見弴著)である。この本、何度買ったかわからない。そして、これほど人に贈った本はない(とにかく名文なのだ)。しかし、そうこうするうちに手元に1冊もなくなり、その果てには絶版となった。版元に問い合わせると在庫のある書店か古本屋にしかないでしょう、とのこと。以来、ずっと探しているが見つからない。

 検索したところ、とある本屋が唯一扱っていた。ずっと探し続けていた本が、ものの10分で見つかるなぞ、心中はやや複雑だがネットの偉大さに感動した。もうもう2度惚れしちゃいましたよ。もちろん、本を手に入れたらもう誰にも渡さないつもりである。
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