旅-経営者の目線-

<旅-経営者の目線->28.ヨーロッパの旅 IV-(1)ブダペスト

2003/05/12 15:27

週刊BCN 2003年05月12日vol.989掲載

 バブルの余韻が残る1991年10月、2度目のテレコム視察と共に、東欧から中欧にかけて5か国を訪問した。ハンガリーのブダペストを始め、ミュンヘン、リヨン、ジュネーブ、そしてオーストリアのウィーンである。

 由緒あるホテルに泊まったり、オペラ座観劇など、普通では経験できない感激の連続で、中でもブダペストからミュンヘンまで乗ったあこがれの「オリエント急行」10時間の旅は圧巻であった。

 5つの都市はいずれも古代ローマ時代にさかのぼる歴史をもっており、中世から近世にかけてはヨーロッパ文明を共有してきたところである。

 ハンガリーは過去独立と異民族支配がめまぐるしく繰り返され、最近までは東欧共産圏に属していた。そのために第一次世界大戦まで同一国家であった隣国オーストリアのウィーンと比べて、戦後の復興に大差がついてしまった。

 しかし、ソ連の戦車に立ち向かったハンガリー動乱や、国境を開放して東ドイツから西ドイツに民衆が脱出するのを助けるなど、この国の人々の自主独立を求めて止まない勇気と不屈の精神力に、改めて尊敬と共感を覚えた。

 ブダペスト市街はドナウ河を挟んで左右に拡がっており、河岸に建つ国会議事堂や両岸を結ぶくさり橋、ブダの丘に建つ王宮やマーチャーシュ教会など、壮麗優美な芸術的建築物が多い。左岸のゲットレールトの丘から見下ろす眺望は素晴らしく、「ドナウの女王」の名にふさわしい。英雄広場にはモンゴルやトルコと戦った建国の英雄達の像が並んで建っていた。

 1990年3月ようやく共産党支配を脱して民主化され、企業は国営から民営に移行できるようになった。その後国民が大いに活気づき、訪問した民営化企業にも西側に追いつこうという意欲が強く感じられた。近く鈴木自動車工業が工場進出すると聞き、その成功を心から祈った。
  • 1