北斗七星

北斗七星 2003年6月30日付 Vol.996

2003/06/30 15:38

週刊BCN 2003年06月30日vol.996掲載

▼紫陽花が雨に濡れる季節を迎え、今年も早くも折り返し地点を過ぎようとしている。例年この時期、3月期決算会社の大半の経営者が株主総会という一大イベントを終え、ホッと胸を撫で下ろしているのではないか。今年の集中日は6月27日。東京証券取引所によると、新興市場上場を含む3月期決算会社のうち、同日に株主総会を開催した企業は68.1%。集計を始めた1983年以来、最も低い集中率だったそうだ。ちなみにピークは95年で、96.2%だった。

▼株主との対話を重視しようと、大手を中心に総会の開催を集中日からずらす企業が増えている。今年もNECやソニーなどは一足早く総会を開き、開催時間もたっぷり2時間前後をかけた。直接金融の時代を迎え、今後ますます株主との対話が重要視されてくることは間違いない。市場を通じ資金調達を行う以上、株主総会は自社の魅力を直接訴える格好の場と受け止めるべきであろう。よく自社の株価について、「何でこんなに低いのか。市場は正当に当社を評価してくれていない」とぼやく経営者もいるが、株価は正直だ。

▼かつてネットバブルの頃、株式公開にこぎつけて巨利を手にした途端、経営を忘れてしまう創業者も見受けられた。いくら優れた技術を持っていようとも、経営はまた別の次元。技術だけでは次なるカネは集まってこない。最近、勢いのあるITベンチャーが少なくなったが、業界の閉塞感を打ち破るような若手経営者に、ぜひ新風を吹き込んでもらいたいところだ。
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