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「早く話したかった」

2003/07/14 15:27

週刊BCN 2003年07月14日vol.998掲載

 6月末の株主総会後に社長に就任して2週間、初めて公式の記者会見を開いた富士通の黒川博昭新社長の第一声は、「もっと早く話したかった」だった。この間、同社の株価はわずかに上昇したが、地方銀行の大規模システム障害などが明るみになり、“悪評”が渦巻いたままだったからだ。

 会見で発表した経営方針は、特に真新しさは感じられなかった。それもそのはずで、会見後、記者に囲まれた黒川社長は、「基本的に秋草直之前社長(現会長)の路線を踏襲してますから」と漏らした。

 黒川社長は、30年以上もSE(システムエンジニア)として勤務。「現場主義」が当人の売りだ。社長就任後は地方の工場を積極的に回り、社員と対話。そこで得た経営立て直しに向けた結論が、繰り返し述べていた「富士通らしさを取り戻す」だ。

 「らしさ」とは、スピード感や顧客との対話、グローバル性など指すようだが、同社が掲げる「短期的な収益性の確保」は、そう簡単な道のりではなさそうだ。
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