Letters from the World

巨大企業、華為科技

2003/11/24 15:37

週刊BCN 2003年11月24日vol.1016掲載

 日本を除いた世界でいち早く有名になり、気がついたら日本企業はおろか米国企業の存在をも脅かすようになっていたという中国企業は多い。スイッチやルータなどの通信機器メーカーの華為科技(英語名、Huawei、本社深市)もそんな会社の1つである。2万人を超す社員、日本を除く世界中の32か所に点在する事業所、5.5億ドルの売上高など、すでにワールドクラスの企業である。これがまだ設立から14年しかたっていないのだから脅威的なスピードである

 インドのソフトウェア業界の中心地、バンガロールで技術者に最も人気のある就職先が、華為のインド研究開発センターであるといっても過言でない。2000年にバンガロールに設立され、現在2000人近いエンジニアを抱える。シスコシステムズよりも高い給料を払い、優秀な人材を見境なく掻き集めているという。中国が苦手とする、最新の通信分野のソフト開発力をインドの研究開発センターで補い、そこで雇った大量のエンジニアを中国本社に送り込むという大胆な戦略をとっている。

 一方、シスコシステムズからルータOSのソースコードの特許侵害で訴えられていたが、10月31日に和解した。和解条件は明らかにされていないが、同社のイメージ回復になる明るいニュースとなった。一方、現地の板金加工や金型、プラスチック射出成形の有力な業者を開拓する場合、華為科技が取り引きしているところとは取り引きをしない方がいいという暗黙の了解がある。なぜなら、華為科技からの注文があまりにも多く、生産がまったく追いつかない事態に陥っている会社がほとんどで、とても新規商談には対応できない状態ということらしい。この華為科技は、主要顧客や戦略パートナーに日本企業がまったく登場しないのも面白いが、それよりも同社のトップマネジメントがまったくマスコミの取材に応じず、ベールに包まれているというのもまた、変わっている。(中国・深セン市発:アコードインターナショナル 原 真)
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