Letters from the World

“テレビよさようなら”

2005/02/07 15:37

週刊BCN 2005年02月07日vol.1075掲載

 家電販売店の中心的な商品といえばテレビだ。最近ではプラズマディスプレイを中心とするフラット化と大画面化が技術の焦点になっている。また、携帯電話での視聴やポータブルDVDプレーヤーなど、完全なパーソナルユースへの対応が模索され続けて、今後も家電の中心的な位置に居続けることは確かなようだ。

 そんななか、米国でちょっと面白いグッズが大ヒットし注目を集めている。「TV-B-Gone」(http://www.tvbgone.com/)という商品だ。商品名は“テレビよさようなら”とでもいった意味。簡単にいえば、市販されている大多数のテレビに対応した、スイッチオフ専用のリモコンである。1000機種以上の市販のテレビに対応しているといい、見た目も大きさもちょうど車のリモコンキーのようなものである。

 技術的にはたいした特徴があるわけではない。現在市販されているテレビの多くは、リモコン機能に赤外線を利用しており、しかもTV-B-Goneはスイッチを切るだけの機能しかないため非常にシンプルだ。あまりの大ヒットにかえって驚いているという同社代表のアルトマン氏だが、彼の「この製品が現代社会への何らかの警鐘となっているのではないか」という意見は、多くの識者も同様に指摘するところだ。最近ではTV-B-Goneを持って家電量販チェーン店へ行き、次から次へと並べられているテレビの電源を切っていく悪戯も見られるようになったという。

 この商品、米国での価格は14ドル99セント。米国・アジア向けと、ヨーロッパ向けの2種類が発売中で、家電量販店でも購入が可能だ。日本でも既に秋葉原あたりでは売られているかもしれない。日本の技術なら、携帯電話の電源を切ったり、社内のパソコンの電源を落とすリモコンなどが出てきてもおかしくはない。ハイテク嫌いの人は意外に多い。こちらも結構なヒット商品になるだろう。誰か開発してみてはいかがだろうか。(ニューヨーク発:ジャーナリスト 田中秀憲)
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