深夜の車窓 寝台列車再考

<深夜の車窓 寝台列車再考>2.念願のA個室寝台だが

2005/02/14 15:26

週刊BCN 2005年02月14日vol.1076掲載

 北九州市での仕事が夕方に終わり、東京へ戻るのに迷わず寝台特急を使うことにした。小倉駅から乗車することにし、選択肢は大分から来る「富士」、熊本からの「はやぶさ」、長崎発の「さくら」がある。「はやぶさ」と「さくら」は鳥栖駅で併結され1本の列車となって東京に向かう。

 このチャンスに念願のA個室寝台・シングルDXを利用するつもりだったが、あいにく「富士」は満室で「はやぶさ」に空きを見つけた。「さくら」にはB個室寝台であるBソロは連結されているが、A個室寝台はない。(追記:現在は富士、はやぶさともにA個室寝台を連結していない)

 熊本を17時20分に出た「はやぶさ」は、20時39分に小倉駅発。乗車前に忘れてならないのは食事を済ませるか、弁当を買い込んでおくことだ。食堂車もなければ、車内販売サービスもほとんどない。忘れると翌朝、名古屋駅まで空腹をガマンしなければならなくなる。

 専務車掌によれば、「今日はA寝台もほとんど満室です」とのこと。金曜日だからだろうか。

 6分で門司駅に着く。ここでは関門トンネルを通るために電気機関車をつけかえる。九州内を牽引してきた交流用のED76から交直流対応のEF81へ、トンネル越えて下関で直流用のEF66につけかえる。門司の停車時間は6分。機関車の付け替えを見に行く乗客もいる。

 個室に収まった。ベッドは70センチ幅と狭く、さらに大きな荷物を置いてしまうと動くスペースもない。これでもシングルDXなのである。1晩のガマンだが、もう少しなんとかならんか、というのが正直な感想である。下関は21時00分着。スピードは速くない。通過駅の駅名板も十分読める。しかし、本でも読むか、後は寝るくらいしかすることはない。途中、柳井、岩国と明るいホームを過ぎ、広島0時06分。まもなく深い眠りに落ちた。(今賀 至)
  • 1