インドや中国、ブラジル、エジプト、タイ、南アフリカなど発展途上国の急激なIT需要の拡大にともない、現地の物価事情と環境に合わせた廉価パソコンに注目が集まっている。

 先ごろ米MITメディア研究所の創立者兼会長であるN・ネグロポンテ氏が公開した新型ラップトップは価格100ドル弱。なんと手動で回せるクランク発電機付きで、密林も停電もへっちゃらだ。衝撃から守るためゴムでボディを保護し、野外では見やすいようモノクロにすぐ切り替えられるデュアルモードの液晶を採用。持ち運び時はACアダプターがストラップになる。

 同氏はカンボジアの村々を訪れて初めて発展途上国ならではのニーズに目覚めた。100ドルを切るパソコンの構想は、寄贈したノートパソコンを現地の子どもたちが活用している姿を見て思いついたという。

 製品はLinux OSで500MHzプロセッサ搭載。デリケートなハードディスクドライブの代わりにフラッシュメモリを使い、接続はWi-Fiだ。

 ネグロポンテ氏率いる非営利団体は、今後1年間で最大1500万台を製造、冒頭で列記した国々から出荷を始める予定だ。安いので大量受注が予想されるが、ネグロポンテ氏は2007年まで毎年1-1.5億台の出荷を見越している。

 廉価パソコンの先行機種としては英国の非営利団体Ndiyoがつくったオープンソースの“Nivo”(100英ドル弱)、インドのHCLインフォシステムズが開発した9990ルピー(225ドル)のパソコンがある。9990というのは「1万ルピー以下のパソコンで普及を推進しよう」というインドの国策に沿った価格設定だ。同社が1万5000ルピーのパソコンを売り出した時には「発売から15か月でシェアを3.7%から15%に伸ばした」というから、やはり発展途上国仕様の肝は価格である。

 「ネットの恩恵を誰もが享受できるよう世界の子どもたちに技術を整備すること、それが私の使命です」と語るネグロポンテ氏。

 インド政府は今の1500万台から2010年には7500万台にパソコン保有数を増やしたい意向という。(市村佐登美)