旅の蜃気楼

勝利の“感動”をともにする

2006/01/02 15:38

週刊BCN 2006年01月02日vol.1119掲載

 新年、明けましておめでとうございます。

▼雪化粧した真っ白い街並みは新鮮でわくわくする。山陽新幹線に乗ると、今日は車窓から綿帽子をかぶった富士山が見えるかな、と期待して、覗き込んでしまう。雪のつき方を見て、「暖冬かな…」と思っていたら、寒波が襲来して日本中が震え上がった。そこで新しい言葉を覚えた。“寒冬”である。冬は寒いもの。ところが、暖かい冬もあるから、寒冬の言葉は便利だ。言葉は進化している。特定地域で進化した言葉は方言という。世代のくくりでも、ネットの世界でも新しい言葉が生まれる。圧縮した言葉が多い。

▼「プロコン」という言葉を覚えた。正式名称は「プログラミングコンテスト」だ。全国に55校ある高等専門学校の学生が、情報処理技術を競い合う場だ。毎年10月に全国持ち回りで開かれる。昨年は米子高専が「第16回プロコン」を開催した。熱い戦いは16年前に始まった。プロコンとロボコンは高専の2大コンテストだ。とても盛り上がる。米子で1泊2日の熱い戦いを見た。学生と先生が一心同体で戦いに臨んでいる。夜、ホテルのエレベーターで、学生らと鮨詰めになった。「あの箇所のソフト変更はできたの?」と先生らしき人。「まだです。明日の朝までには完成させますから…」と生徒らしき人。兄弟の様であり、親子の様でもある姿にすがすがしさを感じた。

▼技術は市場を創造します。市場の成長は、明日の社会の原動力となります。こうした循環を支えるものこそ、情熱を抱いた若者たちに他なりません。戦いの結果、最優秀校が誕生する。受賞した子供たちは壇上で、喜びを体中で表現する。この姿はどこかで見たような気がした。どこだろう。そうだ。「BCN AWARD」の受賞会場だ。子供と大人の年齢の違いはあっても、技術から生まれた作品が人に認められた感動は同じだ。喜びを共有することはできないか。「BCN AWARD 2006」は1月27日に開催する。会場にプロコンの受賞校となった津山高専、鳥羽商船高専、宇部高専の学生を招く。技術が生んだ勝利の“感動”を、ともに味わう場の演出を企画している。(本郷発BCN社長・奥田喜久男)
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