ビル・ゲイツがマイクロソフトの経営から身を引くというニュースは、瞬く間に世界に広まった。彼自身が設立した基金の運営に専念するというのが表向きの理由で、今年5月にはテレビ局の取材に対し「世界一のお金持ちになったことで無用な注目を集めることとなった」と成功者としての苦悩を語っていたことからも、この決心は理解できなくもない。

 だが、うがった見方をすれば、無数の裁判や各種の圧力に悩むマイクロソフトが、ビル・ゲイツのみならず同社への攻撃の矛先をかわすため、とみられても仕方あるまい。

 ビル・ゲイツは今後2年間で権限委譲を進めると断言する。しかし、氏は経営の一線を退くとはいえ、同社のCEOの地位を辞すことはないままだという。 どこかの国の新聞社主のように、問題が起こった一時期だけ球団から身を引くなどという姑息な手段ではなかろうが、何かほかに目的があるのか、それとも公表の理由を額面通り受け取るべきなのか。そして今後IT産業界にどのような影響をもたらすのか。すべての関係者は、しばらくこの問題を分析することに忙殺されることだろう。(サンフランシスコ発)