ある大手ハードメーカーの技術者に取材した時のこと。自身の経験をもとにした印象深い話を聞いた。

 その技術者は、「技術者が長く勤められる環境作りは、技術者不足を解消するカギ」だと言う。加えて、「IT業界の技術者は、転職の数がスキルアップにつながるといった考えが強く、20代では3年以内に転職することが一種のステータスになっている」そうだ。これは、「体力的な問題から、40歳までで技術者としての人生が一段落するといわれている」ため。少しでも多くのスキルを吸収し、起業家としてベンチャー企業を立ち上げたり、技術指導者を目指すというのが一般的な道なのだという。ちなみに、その技術者は指導者としての道を選んだ。

 ひとつの企業に長く勤めてもスキルアップが図れるはずなのだが、「同じ職場に長く勤めるという考えを多くの技術者が放棄しているのは、企業側が30代後半を過ぎた頃になると職場に居づらい雰囲気を醸し出しているからではないか」とみている。

 技術者志望の学生が以前と比べて少なくなり、技術者不足に頭を痛めている企業が多くなったようだ。「そういったベンダーがあるとすれば、技術者が居心地の良い環境を作っていないことに起因することが多い。優秀な技術者に長く勤めてもらうという意味でも、技術者雇用のあり方を見直してもよいのではないか」というのが、その技術者の見解だ。