Letters from the World

カノン・ロックの魔力

2006/09/11 15:37

週刊BCN 2006年09月11日vol.1153掲載

 パッヘルベルの名曲カノンを台北出身のギタリスト、JerryCがエレキにアレンジした「カノン・ロック」。アパートで布団を敷きっ放しで奏でるその旋律は昨年暮れグーグルビデオに公開後、世の中の人すべてを虜にした。腕に覚えのあるギター弾きが自分の演奏を続々投稿、動画共有サイトを舞台に“世界のど自慢”状態と化している。こんな短期間で大勢のギタリストが一つの旋律に夢中になるなんて有史以来初の現象だろう。

 なかでも注目は、22歳のFun Two君で、野球帽を目深に被って一心不乱に奏でる動画“guitar”は今、YouTube音楽部門歴代最多の800万DL超、NYタイムズも絶賛のパフォーマンスである。

 「かつてこれだけ美しい動画があっただろうか。(中略)弾き手はフロントマンを夢みる内気な少年。だが、その名もなき映像は見る人の心を捉えて放さない。背後の窓からまぶしい日差しが差し込み白い光が彼を包み込む。それはあたかも夢を見るかのようだ」(同紙)

 初収録版が韓国のギター専門コミュニティで見つかったことから、おそらく韓国人と思われるが身元は不明。謎がさらにブームを加速している。(サンフランシスコ発:ジャーナリスト 市村佐登美)
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