「マスコミにペラペラ喋ってるのは誰だ」。ダン会長(当時)の鶴の一声で始まったヒューレット・パッカード(HP)のリークハントは、証拠を盾に辞任を迫られた派閥の取締役をかばって大物パーキンス氏が辞表を叩きつけた5月から急に雲行きが怪しくなった。

 「証拠はどこで入手した?」   パーキンス氏の要請を受けHP社が調べてみたら、調査会社が通話記録の不正入手監視尾行などスパイ活動を行っていた事実が判明。氏ほか幹部数名と記者9人が被害に遭っていた。

 本人や家族の社会保障番号下4桁を使って認証をクリアしネットに口座を開いて通話記録を引き出す。これは当然ながら違法行為に当たる。電話会社の通報で州検事総長とSEC、FBIが捜査に乗り出し国会が経営陣を証人喚問。引責辞任した前会長とハードCEOが証言台に立った。

 HP社は架空の幹部名義で記者に追跡バグ添付のメールも送信していた。開くと転送先などキーストロークが全部筒抜けになる、とんでもない代物だ。

 大物が外から圧力をかけていなかったら記者たちが自力で気づいたとは到底思えない。HPウェイはどこに消えたのだろう。(サンフランシスコ発:ライター 市村佐登美)