Letters from the World

大型買収のゆくえは

2006/11/20 15:37

週刊BCN 2006年11月20日vol.1163掲載

 グーグルがYouTubeを買収したが、AOLも買収を検討していたことを認めた。またマイクロソフトも同様の計画があったにもかかわらず、自社で同様のサイトを構築できるとして買収を見送ったという噂がある。

 そのマイクロソフトは敵対視していたノベルと手を結んだ。意外な組み合わせといえば、AMDによるATIの買収やシーゲートとマクスターの例も同様だ。果てはRIMがPALMを買収するなどとの予測まであり、いずれも従来では考えにくいケースばかりだ。過去にとらわれない自由な提携や買収は最近のIT界のトレンドともいえる。

 しかし将来に見込みがあるといっても、誰もが容易に提携や買収を進められるわけではない。あるアナリストは「財布を開いてショッピング(キャッシュで企業買収を行うこと)ができるのはグーグルとマイクロソフトだけだ」と言ったが、たとえ株式の交換であっても企業買収は大企業によるものが多い。事実、新進気鋭のYouTubeも結局はグーグルに買収された。

 最終的には資金力に勝る大手が市場を席巻するのか。それとも新興勢力が出てくるのか。IT界はますます混迷が深まる。(ニューヨーク発:ジャーナリスト 田中秀憲)
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