「IPO(新規株式公開)をした瞬間、会社は株主のものになってしまう」と、日本のベンチャー企業はIPOに慎重な姿勢をみせる。

 多くのベンチャー経営者は「IPOとは資金調達の一つの手段でしかない」という。ある企業では、まずは事業を成長させ、社会が要求するものを作り出そうとすることで、「その要求を受けて事業は大きくなっていく。資金調達の必要性を要求されたら、それからでも遅くはない」との考えを示す。

 さらには、利益は追い求めず、「自分が食べていける分だけ稼ぐことができればそれでいい」という経営者もいる。

 あるベンチャーでは「四半期決算ほど馬鹿な行為はない。経営は本来、中長期的に考えなければいけない」という意見を聞いた。かつて日本の企業が成功したのも、経営を中長期的に考えていたからだという。日本の機関投資家は皆、今現在の経営のことしか考えないのだという。「日本はIPOした瞬間に機関投資家に逆らえずに、つまらない会社になってしまう」と憂う。

 日本とアメリカの違いは「本物のエンジェルがいるかいないか」ということだ。税制の違いもあり、アメリカで事業に成功すると巨万の富が手に入る。その人たちの多くは、得たお金を次世代のベンチャー企業に投資するが、大きなリターンは望まない。新しい事業を成功させるプロセスを楽しむためなのだそうである。