IT業界では相も変わらず吸収合併劇が盛んだ。大手は目についたベンチャーを買い漁っており、その額は膨れあがるばかり。それでもやはり、ある程度結果が出たものを選んだほうが安心ということなのだろう。

 ところで先日「スパイダーマン3」を見てきた。この映画、題名通りシリーズ三作目だが、実はこの時期のほかのヒット作は「シュレック」、「パイレーツ・オブ・カリビアン」など軒並み「Part 3」で、新作は影が薄い。安定したヒットが見込めるシリーズ作品のほうが、社内の同意を得やすいということらしい。

 IT分野でもエンターテインメント分野でも、大企業では新しいアイデアは日の目を見にくいようだ。斬新な着想に手を出す勇気はないが、ある程度の保険さえあればいくらでも払う。熱意のある新進の起業家たちがある程度の成功を収めた後でなら、喜んでお財布を取り出すという風潮が見てとれる。このような傾向は芸術でもビジネス分野でも末期的症状としか思えない。

 米国でさえこの有様だ。だからこそ今の日本で求められているのは、勇気ある最初の一歩を踏み出すことを厭わない、未来を創出できる人材だろう。(ニューヨーク発:ジャーナリスト 田中秀憲)