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グリーンITでダイナミックな政策を

2008/02/04 15:37

週刊BCN 2008年02月04日vol.1221掲載

 米国では過去6年間、データセンター(DC)の電力消費量が倍増し、原発5基分に達したという。日本でもさまざまな情報サービスをネット経由で利用できるようになった。この利便性は膨大な電力を消費するDCの拡張によって支えられており、当然ながら電力問題は深刻さを増している。

 省電力は運用コストを負担するユーザーにとってメリットがあるばかりではない。ベンダーにとっても技術的な競争優位を高める源泉にもなり、この分野に投資する効果は大きい。

 とはいえ、IT分野での消費エネルギー削減の基準が明確ではなく、目標値に向けての推進力がいまいち弱い。大型の税制優遇などの政策もみえてこない。温室効果ガスの削減値を明確に定め、達成すればメリットを享受できる強力な仕組みづくりが必要なのではないか。

 基準策定や優遇策を巡っては、「総論賛成」でも、具体的な議論に入ると意見が食い違うことが少なくないという。技術力や取り組みに温度差があることから「各論反対」の状態だ。

 7月の洞爺湖サミットでは環境問題が主要テーマ。環境立国として日本がイニシアチブを発揮するうえで、IT分野で改善する余地はまだ十分にあるはずだ。「護送船団方式で」などと甘い考えは捨てて、IT業界やユーザー、行政が一丸となってダイナミックな政策を打ち出してほしい。(寶)
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