北斗七星

北斗七星 2008年5月5日付 Vol.1234

2008/05/05 15:38

週刊BCN 2008年05月05日vol.1234掲載

▼トップ営業拠点の支店長にマネジメントの要諦を聞いたことがある。「信頼すれども、信用せず」というのが、その答えだった。部下に大きな仕事を任せるのは大いにけっこう。誰しも(自分は信頼されている)と思えば、全力で取り組むからだ。しかし、「部下は失敗したり、ミスを犯すものと覚悟しておかなくては。だから信用してはいけない」というのだ。

▼辞書の初版は買うべきではないとよくいわれる。校正ミスなどの修正が必ず入るからだ。本紙の制作に携わっているわが身を振り返ってみても、しばしば冷や汗を流す場面にでくわす。ゲラ校正には、「疑わしきは罰する」姿勢で臨んでいるのだが、思ってもみなかったところにミスが潜んでいる(この「思ってもみなかった」がクセモノなのだが)。

▼ミスの根絶はあらゆる業種・業態にとって共通の、かつ永遠の課題である。小さなミスでも命取りになる可能性が高いシステム開発では、なおさら切実だ。決定的な処方箋はないが、「ミスは必ず起きるもの」という前提に立つのとそうでないのとでは対策に根本的な違いがでてくるはずだ。

▼国内市場は縮んでいく一方。企業はグローバルに目を向けなければ生き残れない時代がやってきた。企業の中で人材の多国籍化がいっそう進むだろう。部下のマネジメントもそれだけ複雑化するわけだ。野村證券で発生した社員のインサイダー取引をみるにつけ、「信頼すれども、信用せず」がミスや不祥事を防ぐ鉄則と思える。
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