▼「いいもの」はもっているのに「実現できない」のはなぜか。脳科学者・茂木健一郎氏の著書にはこの解の一端が示されている。「見る、聞くなどの『感覚系学習の回路』と、手足を動かし情報を出力する『運動系学習の回路』のバランスが悪いことが原因」と。この二つの回路は、脳内で直接連絡していないそうだ。だから、いいアイデアが浮かんだら、すぐに「行動」を起こして確かめる──。優れた事業を生み出すコツが脳科学で証明されつつある。

▼IT業界では、今まさにブームが巻き起こっている「SaaS」や、その先に見えてきた「クラウドコンピューティング」の世界、うっすら見え始めた新しいITサービスをどう創造するかに注目が集まっている。「SaaS」プレイヤーが続々誕生しているのは、「SaaSがビジネスになるかどうか」を、「行動」し確かめようとする動きに映る。

▼しかし、SaaS製品やソリューションが揃っても「誰がどのように売るのか」という議論が欠けたままだ。商工会議所に聞くと、多くの中小企業経営者はITを使いこなせない。そんな経営者たちに必要性を明確に説明し、販売するSaaSの「売り手」が不可欠だ。

▼茂木氏は脳科学の視点からこうも提言する。往年の悪役プロレスラーの名を取り「タイガー・ジェット・シン的企業経営術」が必要と。逡巡せずいきなり本質を実行することで「生命の輝き」を放つという理論。SaaSの「再販モデル」づくりに着手する時期が到来している。