万が一、IT投資が激減したらどうなるのか――。大手SIerの経営陣は、最悪のシナリオをシミュレートする。景気後退で、仮に売り上げが2割落ちれば、抜本的なコスト削減は不可避。人件費がコストの大部分を占めるSIerにとって、人員の削減は最も即効性がある。

 ソフト開発事業の外注比率が半分を占める大手SIer幹部は、「極端な話、売り上げが半減したとしても、外注をすべて削れば、自社の雇用に手をつけなくて済む」と打ち明ける。もちろん、開発パートナーなしでは、実際問題としてビジネスが成り立たなくなる公算が大きい。とはいうものの、やはり外注は“雇用のバッファ”として位置づけていることがうかがい知れる。


 IT業界を代表する大手・日本IBMが1000人規模の人員削減や外注の絞り込みを実施したことで、正社員の解雇や外注切りをより身近に感じたSIerも少なくない。ITバブル後の人員整理では、流通サービスなど他業種が雇用の受け皿になった。ただ、ほぼ全業種の経営環境が悪化する今回の不況は以前とは状況が異なる。日本IBMの大歳卓麻社長は、「IBMのOBも多いし(そのつてで)再就職に困らない人もいる」と言うが、果たして多数派を占めるのだろうか。企業継続と雇用維持のシビアな選択を迫られる可能性が高まる2009年。人材がすべてと言われるこの情報サービス産業の真の力量が試される年になりそうだ。(寶)