BOOK REVIEW

<BOOK REVIEW>『ヤフー・トピックスの作り方』

2010/05/27 15:27

週刊BCN 2010年05月24日vol.1334掲載

 一か月あたりの閲覧数45億ページ、訪問者数は6970万人――。わが国最大級のニュースサイト「ヤフー・トピックス」の“実像”である。読売新聞社からヤフーに転じ、ヤフー・トピックスの制作に携わってきた著者が、その舞台裏を明かしている。

 まず最初は、トピックス編集部の一日の動きが紹介されている。編集部室は、一般にイメージされている新聞社のそれとはかなり異なる。電話がじゃんじゃん鳴り、記者が慌しく出入りするといった喧騒とは無縁。編集部員がパソコンのモニタに向かい、世界各国から配信される膨大な情報のなかから、ニュースとして価値のあるものを選定し、見出しをつけてサイトに掲載していく。

 そうした一連の作業のなかで、トピックス編集部が重要視しているのは、見出しのつけ方だという。「13文字」という制約を設け、その文字数の範囲でいかに読者の目を引き、しかも誤解を与えないような見出しをつけるかに神経を尖らせているのだ。

 目を引くのは、企業が発信する「プレスリリース」について言及している箇所だ。「企業から発信する情報は、報道機関向けに襟を正し、新しい話題を提供するニュースでないといけないという強迫観念があるのでしょうか?」と著者は疑問を呈している。一般の消費者が進んで読みたいと思うような体裁にすれば、ヤフー・トピックスにも取り上げやすくなるのに、というアドバイスである。(止水)

『ヤフー・トピックスの作り方』
奥村倫弘著 光文社刊(740円+税)
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