BOOK REVIEW

<BOOK REVIEW>『部下を育て、組織を活かす はじめての上司道』

2010/06/10 15:27

週刊BCN 2010年06月07日vol.1336掲載

 「名プレーヤー、名監督にあらず」。スポーツ界でよくいわれる言葉だが、個人の力量が明確に現れる営業の世界にもあてはまる。抜群の成績をあげて、周りの誰よりも早く課長に抜擢されたのに、彼が率いるチームはバラバラ、低実績に頭を抱える――そんな“生まれたて上司”が自らのポジションと思考・行動を再確認するための本である。

 著者は、リクルートで『リクナビ』『就職ジャーナル』『ケイコとマナブ』などの編集長を歴任し、2008年に人材育成コンサルティング会社を起こした人物だ。

 本書は、「第1章/そもそも『上司になる』とはどういうことか」から始まり、七つの章立てと実践事例集で構成されている。各章は5~16の細目に分けられており、計70のポイントが見開き2ページでまとめられているので、理解しやすい。例を挙げてみよう。「第2章/部下育成のキモを押さえる」のPoint21には「部下には『3割背伸び』が必要な仕事を与える」というやり方が解説されている。とくに中堅社員や年長の部下には、マンネリ化を防ぐためにも少し背伸びしなければこなせないような新しい仕事を追加するといった工夫が必要というのだ。要するに、「小さな階段」を作って、そのハードルを越えられるようにサポートするわけである。

 新任の上司は、とかく肩に力が入りがちなもの。自分の弱点を隠すのではなく、オープンにして、できないことは部下に頼るべきともアドバイスしている。(止水)

『部下を育て、組織を活かす はじめての上司道』
前川孝雄著 アニモ出版刊(1500円+税)
  • 1