北斗七星

北斗七星 2010年8月2日付 Vol.1344

2010/08/05 15:38

週刊BCN 2010年08月02日vol.1344掲載

▼新幹線の岐阜羽島駅から「木曽三川」のうちの長良川、揖斐川を越えると水都・大垣市に入る。太閤秀吉の出世物語の舞台となった一夜城(墨俣城)などがあり、伝統と自然に恵まれた土地柄だ。低床な住宅が目立つ平野に、異彩を放つ高層なビル群が目に飛び込んでくる。IT集積拠点の「ソフトピアジャパン」である。設立15年を経て、変革の機を迎えている。

▼ここ数年、この拠点に入居していた大手ITベンダーの退去が相次いだ。敷地内を一周してみると、空室が多い。梶原拓・元岐阜県知事が鳴り物入りで建てた施設は、“箱モノ行政”との悪評を呼んだ。「日本にシリコンバレーのような場所をつくるのは無理だった」と断定する意見もあった。

▼だが、ここへきて輝きを取り戻している。iPhoneなどスマートフォンの登場が、情勢を一変させた。現在入居中の「頓智」が開発したiPhone用のアプリケーション「セカイカメラ」が大ヒット。日本のITの実力を世界に示した。

▼いま、県を挙げて「セカイカメラ」を使ったプロジェクトが進行中。これで閲覧可能な県内位置情報として飲食店や観光地などの「エアタグ」の整備を始め、すでに3711件が登録済み。開設当初に入居した大手は、人材確保の拠点として期待を寄せた。だが現在は、県が当初目論んだ「ベンチャー育成の地」として再興している。全国に存在するIT集積地も、粘り強い取り組みによって、岐阜のような輝きを放つことができるはずだ。
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