地方を巡回取材するとクラウドコンピューティング時代の幕開けに伴って、今後の方向性をどう導くべきか、地方の雄」と呼ばれるSIerからですら、よく嘆きの声を聞きます。愛媛県の松山電子計算センターの山内博司社長は、「週刊BCN」記者が現地で取材訪問して以来、東京へ出張に来るついでに東京・神田のBCNに立ち寄ってくれます。われわれもできる限り力になりたいので、訪問時間が長時間に渡ることも珍しくありません。
計算センターとしての役割である「データエントリー」や旧オフコンディーラーとして名を馳せている同社ですが、いよいよクラウドへの取り組みを開始すべく、自社開発の小売店向け基幹システム「現場主義」をSaaS化しました。想像ですが、イニシャル(初期費用)で稼いでいたビジネスモデルを一部でも壊すことは、苦渋の選択だったと思います。しかし、「いま踏み出さなければ」との思いが山内社長の背中を押したのでしょう。
ところがこのSaaS型の「現場主義」をつくったことで、パートナーが増えそうなんです。いちいち全国を巡回して販売したり、パートナーと一緒にプリセールスをしたりする手間が省け、いわゆる“空中戦”で実績を伸ばしそうな気配です。
弊社のウェブサイト「BCN Bizline」でも高いアクセスを呼び、Twitterで多くの方にリツイートされていました。同社がこの「現場主義」を武器に業績を伸ばし、地方から勝利の雄叫びを上げる時を期待しています。(谷畑良胤)
メールマガジン「Daily BCN Bizline 2010.9.21」より