旅の蜃気楼

“生まれたてオーケストラ”に心が共鳴

2011/01/06 15:38

週刊BCN 2011年01月03日vol.1364掲載

【内神田発】若い人たちが集まってオーケストラをつくった。その名は『オーケストラ HAL』。第1回演奏会は、2010年12月19日、東京江東区のティアラこうとうで行われた。ざっと80人の演奏家がステージに上がった。曲目は、チャイコフスキー『交響曲第五番』、ブラームス『悲劇的序曲』。午後2時、開始のチャイムが鳴った。指揮者・石毛保彦氏の身体が揺れた。ステージ全体も揺れた。『オーケストラ HAL』の船出である。

▼オーケストラは管楽器、絃楽器を総動員して奏でる演奏家集団だ。団員をまとめ上げて、演奏のための練習、演奏会の準備運営は事業活動そのものだ。この話は1年前に、団員であるBCNの社員から聞いた。当時は今以上に景気の先行きが見通せない時期だ。そうした時期の創団に、起業家の意気込みを感じた。

▼演奏会の当日にもらったプログラムに斎藤春行団長の挨拶があった。「オーケストラをつくろう」という構想は5年前に立てられた。当時はまさに雲をつかむような話で、どうしたら練習場所を確保できるのか、メンバーはどうやって集めればよいのか、楽器はどんな方法で運べばいいのか、課題は山積み。「音楽を楽しみたい」という強い思いでオーケストラをつくることに決めた、とある。HALとは、ハーモニー アティーブド スルー ランゲージのイニシャルだそうだ。

▼HALといえば、映画『2001年 宇宙の旅』を思い出す。宇宙船ディスカバリー号の操舵を支配する人工知能の9000型コンピュータの名前だ。初上映は1968年、再上映の1978年に観た。当時はコンピュータ担当の記者だったから、ボーマン船長とHALがお互いの頭脳で戦うシーンに驚き、感動したものだった。『オーケストラ HAL』の第2回演奏会は、2011年8月28日、杉並公会堂で。出かけてみよう。(BCN社長・奥田喜久男)

若々しい演奏がコンサート会場に響いた
  • 1

関連記事

オケ指揮者って、どんな人?

様変わりした高松でうどんを食す