BOOK REVIEW

<BOOK REVIEW>『究極の判断力を身につける インバスケット思考』

2011/08/04 15:27

週刊BCN 2011年08月01日vol.1393掲載

 マネジャー(中間管理職)の仕事の大半は、部下から持ち込まれたトラブル案件の処理である。しかも、トラブルは整然と発生するわけではない。いちどきに押し寄せる難題を手際よく解決してこそ、本物のマネジャーと認められるだろう。

 とはいえ、「言うは易く」である。一度に20ものトラブル案件に見舞われて、しかもそれを60分以内に処理しなければならないとしたら、あなたはどうする? その解決法を指し示すのが本書である。

 「インバスケット」とは、「未処理箱」を指す。箱の中が、案件でいっぱいになった店長(ケーキ店の女性店長)を主人公として、シミュレーションが展開されていく。

 まず最初に入ってきたメールは、店舗指導員からのもので、急な変更で店へ行けなくなったというもの。二つ目は「お子様連れのお客様にせがまれて、ケーキのネームプレートに名前だけではなく、花を描いたら、マニュアル以外のサービスは絶対にするなとチーフに叱られた。お客様の喜ぶ顔が見たかっただけなのに……」。そのほか、社内であの部門だけが優遇されているのはおかしいとか、禁止されているはずの廃棄商品持ち帰りが一部の店員の間で行われているという告発などなど。

 これらの案件をどのような手順でどのように解決していくかについて、ヒントを示しながらゲーム感覚で身につけていくという仕組みである。小売店の店長を想定した内容だが、置き換えて読みこなせば、マネジャー全般に役立つと思える。(止水)


『究極の判断力を身につける インバスケット思考』
鳥原隆志 著 WAVE出版刊(1500円+税)
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