北斗七星

北斗七星 2011年9月19日付 Vol.1399

2011/09/22 15:38

週刊BCN 2011年09月19日vol.1399掲載

▼あの日、現地にいた。1997年7月1日の香港返還だ。100年の借款期間を終えて、香港が中国に戻った。数々のイベントがあって、チャールズ皇太子が港から船に乗って離れた。その時「100年は本当にやってくるのだ」と確信した。香港返還を学んだのは10代の頃だ。その時「100年間とはどんな長さなのか」と思った。

▼100年の間に香港は世界有数の金融センターになった。その香港がそっくりそのまま中国に戻ってきた。香港を貸す時は敗者であっただろう。が、戻った時は“大家”の立場だ。香港を築いたのは英国の力である。香港には今も英国の風味が至る所に残っている。1887年当時の中国の執政者は、100年後の価値創造を予測して、トリックを仕掛けたのか。知る由もないが、「時を待つ術」は学び取ることができる。

▼あの日、現地にいた。2001年のNY911の当日、WTCの崩落を近隣500mの位置で目撃した。マンハッタンは錯乱し、世界中が疑心暗鬼になった。10年が経過した今、次の時代の世界の国々の栄枯盛衰が見え隠れする。私たちの明日は栄なのか枯なのか。時間軸の長い視点に立った方針が求められる。(直)
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