2010年5月28日、iPadの国内デビューは、衝撃的なものだった。厚さ13.4mm、縦横は弁当箱ほどの大きさの“板”にマルチタッチの9.7インチディスプレイを積み、引っ繰り返せば欠けたリンゴ。重さは680g(Wi-Fiモデル)と、モバイルパソコンよりはるかに軽い。何より、起動ボタンを押せばすぐに立ち上がり、ネットもアプリもさくさくと楽しめる速さは、それまでのデバイスにはない魅力だった。

 発売当初に飛びついたのは、iPhone/Macユーザーだったが、これまでにないネットワーク機器としての美点は、ビジネスユーザーの耳目を集めるのに十分だった。

 本書は、そんなiPadを業務システムとして取り入れた先端ユーザー7社(団体)──中古車販売、遊技機製造販売、救急医療システム、銀行、病院、大学、飲食店の導入事例を中心に、さらに業種別の33事例を短信として紹介している。7事例の共通点は、導入の結果としてコミュニケーションや情報の同時共有が進んで現場が変わり、業務効率が格段に向上していること。最終章「iPad導入を成功させるための7つのポイント」で著者がいうように、iPadを「PCの置き換え」ではなく「機動的な情報参照」に使用することで成果を生んでいる。

 2011年4月、iPadは「iPad 2」に進化した。すでに「iPad 3」の登場も決定しているようだ。iPadがスマートフォン同様、ビジネスの現場であたりまえのツールになるのは、そう遠い日ではない。(叢虎)


『iPadで現場を変える!―社員も顧客も喜ぶ業務革新[40事例]』
斉藤徹 編著 河原潤・高下義弘 著 日本経済新聞出版社 刊(1800円+税)