BOOK REVIEW

<BOOK REVIEW>『本当は怖いソーシャルメディア』

2012/03/22 15:27

週刊BCN 2012年03月19日vol.1424掲載

 「情報が既存のマスメディアに独占されていた時代とは明らかに違う時代、個人が自由に情報を発信でき、ソーシャルネットワークによって誰とでもつながれる、素晴らしい時代だという。また『ソーシャルメディア革命』が明らかにしたように、民主化がどんどん進むという。

 しかし、それは本当なのだろうか?」(前書きより)

 FacebookやTwitterに代表されるソーシャルメディアは、私たち、とくに若者の生活と切り離せないほど浸透してきている。それは決して否定すべきことではないが、危険な落とし穴があることも認識しておくべきというのが、著者の主張だ。

 まず、ソーシャルメディアの急速な広がりが既存メディアに及ぼす影響を考えてみよう。人々は新聞を購読しなくなり、経営が苦しくなった新聞社は廃刊に追い込まれる。新聞がなくなれば、どんなことが起きるか。著者は米国で地方新聞が廃刊になった後、その地域で起きたことを例として挙げる。カリフォルニア州の地方都市では、新聞記者が市役所に一人もこなくなって、いつの間にか市の行政官の年間給与がどんどん引き上げられ、今やオバマ大統領の報酬の2倍にもなっているという。

 “本当は怖い”のは、ソーシャルメディア・ユーザーの生活が丸裸にされることだ。想像をはるかに超えるほどの個人情報が収集され、蓄積されていく。米国にはすでにそうしたデータを解析する専門会社が存在しており、いずれ日本でも同じことが行われる可能性を示唆している。(仁多)


『本当は怖いソーシャルメディア 2015年「メディア融合時代」を考える』
山田 順 著 小学館 刊(720円+税)
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