北斗七星

北斗七星 2013年7月15日付 vol.1489

2013/07/18 15:38

週刊BCN 2013年07月15日vol.1489掲載

▼6月下旬は株主総会ラッシュ。投資家が経営陣にどんな不満を抱いているかを直接聞くことができる貴重な場なので、取材に足を運ぶ。通常は、業績が悪化したり不祥事が起きたりした企業を選んで、株主の厳しい意見を知る機会にしているが、今年はその逆。昨年度(2013年3月期)過去最高益で、今年度は営業利益1兆円超えを見込むソフトバンクを取材対象にした。

▼ソフトバンクの株主総会では、孫正義社長が「大ボラを吹く」ことが多いのだという。例えば、創業時に語った「売上高1兆円を超える」や、大赤字だったボーダフォンの買収時にぶち上げた「NTTドコモを追い越す」。トップが描く絵をスタッフが計画よりも前倒しで実現し、株主を魅了する。ソフトバンクはそれを繰り返してきた。時価総額は7兆円を超え、NTTを抜いて国内4位になった(7月5日時点)。

▼今年の大ボラは、時価総額で「世界一の企業になる」。この瞬間、会場の雰囲気は最高潮に達し、議長に拍手。会場の全員が達成を疑っていないようにみえて、異様な空気を感じた。株主の一人は、ソフトバンク株を購入する理由をこう語った。「夢を買っている」。過ぎた一年と今後の取り組みを報告して審判を受ける総会を、孫社長は「夢をみせる場」に変えている。(鈎)
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