旅の蜃気楼

内宮と外宮、位が高いのはどちら?

2013/08/30 15:38

【伊勢発】お盆が過ぎると、身辺が再びグルグルと回り始め、一週間があっという間に過ぎます。朝夕には「おっ、涼しい」と思わず声にするほど、秋の気配を感じるようになってきました。私は雪化粧の山に登るのが好きですから、寒さは大歓迎です。「早く来い来い、お正月」の気分です。今年は伊勢神宮の遷宮があるので、当地での行事が多く、8月30日も3週間ぶりに伊勢に来ています。

▼引き続き『お白石持行事』の話題ですが、前回は内宮、今回は外宮です。伊勢市駅で降りて、JR駅舎を背にして真っ直ぐ伸びる参道を十数分歩くと、外宮の杜に到着します。ここ数年、外宮のこの参道周辺がずいぶん整備されて、内宮のおかげ横丁ほどの賑わいはありませんが、年々、参拝客が多くなっています。この傾向は、とてもうれしいことです。大学4年生の時に外宮の近くに下宿していたので、何となくの身びいきです。

▼内宮と外宮は、ご祭神が違います。内宮は天照大御神、外宮は豊受大御神(とようけのおおみかみ)です。内宮に鎮まる天照大御神は、わが国で最も貴く、国家の最高神とされています。外宮の豊受大御神は食物・穀物を司る神で、このことにより、衣食住、広く産業の守護神としてあがめられています(出典:神宮司庁)。お社の敷地は内宮が大きくて、住宅の気配がない里山の奧まった辺りに神域があります。厳かです。とくに早朝参拝をお勧めします。外宮は街なかの生活に密着していて、身近なお社の印象があります。

▼内宮と外宮の一般的にいう氏子は別で、それぞれに自慢し合います。例えば住んでいる町名を「常盤西世古」といえば、伊勢の人は「ふ~ん、外宮の町ね」と心の中でつぶやきます。何となく、内宮の氏子町内のほうが位が高いみたいな気分があるし、外宮の氏子町内は「外宮が一番」みたいな雰囲気をもっています。伊勢神宮の遷宮はこうした伊勢の町の人々の“意(おもい)”が下支えしているのです。

▼下宮にはいい飲み屋があります。外宮から少し歩くと『一月家(いちげつや)』に着きます。たたみ一畳ほどの暖簾がはためいています。くぐって戸を左に引いて一歩踏み込むと、そこは呑んべえの集まる別天地。ワイワイと賑やか。中国の食堂の賑やかさにはまだまだ勝てないが、活気がある。外宮から一月家までの道があまりにも「シ~ン」と静まり返っているものだから、ここは元気だ、と感じてしまいます。「熱燗ね」。居心地のよさ、旅の非日常。徳利の数が増えていくほどにほろ酔い気分がたまんない。「幸せだなぁ」の気分に包まれます。伊勢へ来ているんだか、一月家へ来ているんだか……。

▼お知らせです。神社本庁が認定する『神社検定試験』3級に、わたくし奥田は一発で合格いたしました。
(BCN会長・奥田喜久男)

2013年8月30日記


外宮の前に店を開いた赤福茶屋の赤福餅と赤福氷。280円と500円です。かき氷は細かい削り氷に宇治抹茶のシロップがかけられ、中に赤福が入っています。どっちがお値打ちかなぁ。

外宮から少し歩くと「一月家」にたどり着く。暖簾をくぐって、「熱燗ね」とひと声かけると、「熱め? ぬるめ?」と問われる。そこで「熱いやつ」。「お勘定ね」と言えば「あいよぉ~」。パチパチと音がする。五つ玉の算盤だ。裏をみると日露の戦勝記念、明治37年とある。
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