上海に赴任して1カ月がたち、だいぶ生活に慣れてきました。これまで私にとって常識とかけ離れた存在であったものの多くが、すでに日常と化しています。慣れとは恐ろしいもの。気が緩んでしまい、判断力が低下しているのでしょうか。
先日、近所のローカルフードのお店で小籠包定食を食しました。その一品として茶碗蒸しが出てきたのですが、フタを開けてびっくり。なんと、ダンゴムシが入ってたのです。きれいに蒸し上がっていたので、「なるほど、中国では茶碗蒸しの具材に食用のダンゴムシを使うのか。これが本場の茶碗“ムシ”か」と感心して、口にしてしまいました。しかし最後まで食べても、ほかにダンゴムシはありません。そのとき、ようやく混入していたことに気がつきました。
中国市場の開拓に意欲的な日系IT企業の幹部は、「中国独特の文化や商習慣が開拓の壁になっている」と口を揃えます。この課題を解決するには、地道に、そして時間をかけて理解を深めていくしかありません。しかし、商業賄賂や違法コピーのソフトウェアの横行など、独特の商習慣や文化には、犯罪につながるものもあります。道を誤らないためには、受け入れるだけでなく、常識を疑う目も養わなければなりません。卑近なできごとで、改めて気づかされました。(上海支局 真鍋武)
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中国ITビジネスに関するセミナーを開催 成功につなげる方法やリスクを詳説メールマガジン「Daily BCN Bizline 2014.5.9」より