日本企業がグローバルで勝ち抜く条件

 日本企業に対するイメージとして、グローバル展開を苦手としているというのがありがちだ。外国語を不得意とするビジネスパーソンが多いのと、コミュニケーションスタイルの違いなどから、そのことを実感した人が少なくないという事情があるに違いない。

 ところが、実際には多くの企業が海外に進出しているのは周知の通り。知る人ぞ知るグローバル企業も、製造業を中心に日本には数多く存在する。逆に、米国では「グローバル時代をどう生き抜くべきか」というテーマの書籍が読まれるなど、グローバル化に晒されている企業も少なくないと思われる。企業が抱える課題は、意外と万国共通なのかもしれない。

 日本の製造業では、グローバル展開に対して別の問題も抱えている。それは“日本品質”である。品質に対する評価は高いが、それは価格にも反映してしまう。市場によっては、安さが優先される。そこを突いた新興国の企業が、安価な製品で市場を席巻し、グローバル企業として成長していく。品質も徐々に追いつき始めるとなると、いよいよ日本企業の出番がなくなってしまう。

 本書は、タイトルに「ITを活かす」とあるものの、IT活用の有効性を手放しで訴えるというものではない。日本の製造業の特徴を分析し、グローバル競争を勝ち抜くためのビジネスのあり方、そしてIT活用のあり方を紹介している。むしろ、ITよりも業務知識が求められる内容で構成されている。モノづくりの現場はもちろん、製造業をターゲットとしているSIerにも読んでいただきたい。(亭)


『ITを活かすものづくり』
藤本隆宏、朴英元 編著
日本経済新聞出版社 刊(3500円+税)