意義のある現実的な世代論

 年長者が若者の気質や文化を理解できないのは、いつの時代にもあったこと。しかし、社会環境や技術革新のスピードがかつてないほど速くなっている現在は、若者気質もまた、ネコの目のごとくクルクル変わっている。著者は、そんな若者たちの生態や気質を「つくし」というキーワードでまとめて解明していく。

 本書が定義する「若者」とは、学習指導要領が大きく改訂された1992年に小学校に入学した人以降の世代。92年は、共働き夫婦世帯数が初めて専業主婦世帯数を上回り、さらにはバブルが崩壊して「失われた20年」に突入した年でもある。2002~11年のいわゆるゆとり教育を受け、さらにはデフレ時代を生きるためにモノを買わなくなったことで、「ゆとり世代」「さとり世代」と名づけられた若者たちだ。

 定性・定量調査から明らかになった彼らの特徴は、まず、仲間とのつながりを大切にすること。多くのコミュニティに参加して情報をやりとりしながら、「仲間に喜んでもらえれば自分もうれしい」という「尽くす」マインドをもっている。それでも、競うことではなく、個性を伸ばす教育を受けたがゆえに、自分のモノサシを大切にする。だから消費は自分の価値観に従う。モノそのものは世に溢れているので、飢餓感はない。不確かな将来よりも、いまの充実を考える──こうした気質を現象ごとに追求していくことで、社会環境と家庭環境、技術革新が若者にどれほどの影響を与えてきたのかを浮き彫りにしている。個人の性向や思想までを十把一からげで語る世代論には意味がないが、本書は現実的な世代論として成功している。(叢虎)


『つくし世代 「新しい若者」の価値観を読む』
藤本 耕平 著
光文社 刊(780円+税)